研究概要 |
自動車等輸送機器,工業用ロボット等産業用機器,高齢化社会における福祉機器など,広い範囲で構造部材の軽量化の要求が一層高まり,比重<1のポーラス材料の有効利用が期待されている.本研究では,代表者らが開発した自己伝播反応(燃焼合成反応)による無機化合物ポーラス材料の実用化に向けて,その基礎研究を発展させるプロセスとして,フレーム構造部材の主体である中空形材にポーラス材料を充填した軽量高剛性ポーラス複合構造部材を製造するプロセス技術の開発を目的としている. 今年度は,昨年度に引続きA1とA1-Ni系化合物からなるポーラス複合材料を対象に、混合粉末圧粉体(プリカーサ)を部分加熱して燃焼合成反応を誘起するプロセスについて検討するとともに,TiH_2を発泡助剤とするポーラスアルミニウム作製法に燃焼合成反応の自己発熱を利用する新規の発泡プロセスの可能性を検討した.具体的検討事項は,前者について,(1)燃焼合成発泡への加熱雰囲気の影響,(2)部分加熱発泡における予熱の効果,(3)自己伝播発泡したポーラス材料の気孔性状の評価,後者については,(4)発泡助剤(TiH_2)と発熱助剤(Ti+B_4C)の混合割合の影響,(5)アルミ粉末量の影響,(6)加熱発泡後の気候性状の評価,である.以上の検討結果から,AlとAl-Ni系化合物からなるポーラス複合材料については,大気中での加熱発泡が可能であること,自己伝播発泡にはプリカーサの予熱が重要なプロセス因子であることを解明し,大気中での一部分の加熱のみによる省エネルギー創製プロセスの可能性を実証した.また,自己発熱を利用したポーラスアルミニウムの作製については,さらなるプロセス因子の最適化が必要であることがわかった.
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