窒化ケイ素サブミクロン粉末に焼結助剤を混合し、高エネルギー粉砕処理を行った。本粉砕処理は、窒化ケイ素セラミックスで内張したポットに混合粉体、窒化ケイ素製粉砕ボールを窒素ガスとともに封入し、主軸回転数475回転毎分で4時間行った。粉砕前後の粉体を、粉末X線回折法により分析したところ、粉砕処理後は窒化ケイ素のピーク高さが低下し、全体のバックグランド高さが高くなっていた。焼結助剤として添加した酸化イットリウムのピークはほぼ消失した。これらの結果から、窒化ケイ素粒子、酸化イットリウム粒子の微細化、非晶質化が起こっていることが示唆された。透過型電子顕微鏡により粉砕後の粒子を観察すると、非晶質相の中に、結晶質の部分が観察された。この結果は粉末X線回折による分析結果と一致した。このように作製した窒化ケイ素ナノ粉末の焼結を放電プラズマ焼結法により行った。条件は昇温速度約300℃毎分と急速であり、焼結温度における保持時間は5分と短時間、加圧は30MPa、窒素雰囲気中とした。密度が高くなる過程は、一般に、昇温を始めると、治具の熱膨張により膨張側に変位が生じ、実際に焼結が開始すると収縮側に変化する。高密度化が終了すると再び膨張側に変位する。粉砕処理前後の粉末を同じ焼結条件で比較すると、粉砕処理後の粉末では収縮開始の温度が高温側にシフトするが、その後の収縮速度は速く、最終的にはより高い密度が得られることがわかった。このように、放電プラズマ焼結法を用いて短時間に昇温し、焼結温度での保持時間を短時間とすることで、粒成長を抑制しつつ、高密度化を達成し、窒化ケイ素αサイアロン、βサイアロンのナノセラミックスや、窒化ケイ素/炭素のナノ複合セラミックスを作製することができた。
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