研究概要 |
超高密度磁気記録技術を実現するために下記1.-5.の磁性薄膜について薄膜の試作、磁気特性評価とナノ構造解析、結果の考察と薄膜試作過程へのフィードバックを行い、高密度磁気記録を実現するためのキーマテリアルの創製法を確立することを目的として研究を行った。 1.FePt,SmCo_5垂直磁気異方性磁性薄膜 FePtナノ粒子の表面を不規則化させることにより、保磁力の大幅な低下を確かめた。磁化過程の検討により、表面不規則化はFePtを記録媒体として実用化させるのに有効な方法であることを実証した。 Cu下地上に作製したSmCo_5連続膜は垂直磁気異方性及び高い保磁力を示す。ナノ構造解析により高保磁力はCuのSmCo_5層中への不均一な拡散による磁壁ピニングによることが明らかとなった。 2.Co基相分離系磁性薄膜 比較的高い垂直異方性を有するCo-W薄膜を成膜した。ナノ構造解析によりW濃度の高い領域でアモルファスと結晶の相分離を確認した。 3.FeCo基高磁束密度軟磁性材料 書き込みヘッド材料のFeCo軟磁性膜のアトムプローブ解析により、めっき浴中のSがめっき膜の粒界に偏析し、これが飽和磁束密度の減少の一因になっていることが明らかになった。 4.CCP-GMR膜構造の解析 CCP-GMR膜のアトムプローブ解析のために、FIBによる試料作製を試みた。試料保護のためのCrや基板のSiBのアトムプローブ解析には成功したものの、CCP-GMR膜の解析にはまだ成功していない。 5.高分極率ハーフメタル薄膜を試作 基板温度を変化させることによりA2,B2,L2_1構造を有するCo_2MnGe, Co_2MnSi薄膜を作製し、点接触方式によるスピン分極率測定を行った。スピン分極率が1と期待されるL2_1構造の薄膜においても高々0.6程度のスピン分極率であった。これはL2_1規則度が低いことが原因と考えられる。
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