研究概要 |
Ti-6Al-4V(Ti-64)とTi-4.5Al-3V-2Fe-2Mo(SP-700)合金の2mm^Tを供試材として用い、メタンガス処理、析出処理及び真空脱水素処理を行い、その時の各プロセスでの組織観察、硬度分布の測定を行った。また、吸水素処理として純水素中での熱処理を行い、水素濃度が組織に与える影響を調べた。アルゴン-5%メタン処理後の表面最高硬さおよび硬化層深さは1198K、10.8ksの処理をしたTi-64合金でそれぞれ850Hv,230μm、1073K、21.6ksの処理をしたSP-700合金でそれぞれ880Hv,130μmとなり、顕著な表面硬化、硬化層深さが得られた。脱水素処理後に、硬化層深さは増加していた。これは、メタンガス処理中に表面に形成されたTiCの分解により供給された炭素が、脱水素処理中により深く拡散したためであると考えられる。一方、メタンガス処理による吸水素量は組織の微細化を達成するために充分な量は得られなかったが、両合金とも873〜1023K、1.8ksの水素処理により、1mass%以上の高い吸水素量が実現できた。吸水素後の組織は温度の上昇とともにβリッチとなり、1123Kでの水素処理によりβ単相組織となった。このような温度域で吸水素処理を施した合金を脱水素するとα相が針状となった。923Kで水素処理、時効後、Ti-64合金は1173Kで、SP-700合金は1073Kで3.6ksの脱水素処理を施すと等軸化した2相組織が得られた。このことから水素処理とメタンガス処理との組み合わせにより、組織の微細化を伴う硬化処理の実現が示唆された。
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