研究概要 |
(1)メタンガス処理 アルゴン-5%メタン処理後の表面最高硬さおよび硬化層深さは1198K、10.8ksの処理を施したTi-6Al-4V合金で850Hvおよび230μm、1073K、21.6ksの処理を施したTi-4.5Al-3V-2Fe-2Mo(SP-700)合金で880Hvおよび130μmであった。炭素の固溶に伴うチタン材料の顕著な表面硬化が観察された。しかし、アルゴン-5%メタン処理による吸水素は組織の微細化を達成するために十分な量ではなかった。 (2)メタン-水素混合ガスによる処理 CH_4:H_2=1:1雰囲気での吸水素処理を1023Kにおいて1.8ks行った。吸水素量は十分であったが、時効処理、脱水素処理を経ても、いずれのチタン合金においても組織は微細化されなかった。組織を詳細に観察すると、表層付近には微細な組織が観察される領域が存在した。表層付近は炭素の固溶により表面硬化と共に、β変態点が上昇していると考えられる。すなわち、各合金のβ変態点と処理温度の関係の把握が必要であることを示唆すると判断した。 (3)水素のみを用いた組織微細化条件の検討 吸水素条件、1023K、1.8ks、時効処理523〜873K,28.8ks、脱水素処理973〜1173K,3.6ksにおいて、組織微細化を検討した。Ti-6Al-4Vにおいては、773Kにおける時効処理の後、脱水素処理を973Kから1173Kにおいて行うことで等軸化も含めた微細組織制御が可能であった。一方、SP-700合金の微細化は達成されず、針状のα相が形成された。この理由は、SP-700合金のβ変態点がTi-6Al-4Vよりも100Kほど低いために、吸水素処理と時効処理で十分なひずみが導入されなかったためと考えられた。今後、吸水素条件の詳細な検討が必要と思われる。
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