本研究では、組織情報の抽出解析を行い、計算機シミュレーションの援用などにより選択成長の対象となる結晶粒を選定し、それら結晶粒にレーザを照射することにより熱エネルギーを集中させて、設計した組織状態を得るためのシステムを構築し、実際に組織プログラムが可能であることを実証することを目的としている。そのため、本年度は、直径数μm程度の領域にレーザ光をロックオン集光し、その領域のみ加熱する局所加熱システムの設計および製作を中心に行った。 試料を水平に設置した電動ステージ上に固定し、その試料表面に対して鉛直にレーザ光を集光・照射できるシステムを構築した。本システムはノマルスキー型プリズムを装備することができ、その結果、システムが微分干渉顕微鏡として機能する。本機能によって、昨年度と比べ、腐食処理を行わずにそれぞれの結晶粒の判別が行いやすくなった。本システムは、その機能以外に、レーザ照射位置を2次元走査できる機構を取り入れた。本機構は、コンピュータ言語を用いて新たに作製したプログラムによって実現した。本プログラムは、GUI(グラフィカルインターフェイス)を取り組むことによって視覚的に操作できるようになっている。さらに、本プログラムを用いて電動で開閉する遮光板を制御することによってレーザ照射時間を制御できるようにした。本システムを用いてチタン基板上へのレーザ照射実験を行った。その結果、プログラム上において実験者が指定した通りにレーザ光をチタン基板表面に集光・照射することができた。
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