研究概要 |
プローブ-ショルダー同軸回転制御摩擦攪拌接合装置(複動式FSW装置)を開発した。油圧サーボシステムの能力として最大荷重を70KNとし,Arシールドガス等のシードガスを流せる機構とした。ショルダー部,プローブ部ともに,荷重制御および位置制御を可能とし,ツールの材質はまずSKD61で試作した。 開発した装置を用いて,板厚は5mmの純Al1050,実用Al合金6061の接合を行った。ショルダ部(外部)の回転速度を1500rpm一定とし,プローブの回転を250〜1750rpmの範囲で変化させることにより,得られた継手特性に及ぼすプローブの回転速度の影響を明確にした。表面から2.5mmすなわち,試料の厚さ中心においては,硬さはプローブの回転速度に大きく依存しないのに対し,表面から0.2mmにおいては回転速度が増加するにつれて,硬さが増加した。これは,回転に伴う加工ひずみが増加したためと考えられる。一方,攪拌領域の大きさについては,表面の幅は,プローブの回転数が減少する,すなわち,入熱が減少するにつれ,小さくなるのに対し,厚さ中心においては,むしろ増加する傾向にあるという興味深い結果が得られた。一方,A6061に関しては,プローブの回転速度が増加するにつれ,硬さはやや減少,攪拌領域はやや増加する傾向があった。また,TEM, EBSPを用いて結晶方位,結晶粒の大きさ,結晶粒の形状等を詳細に解析することにより,攪拌部における塑性流動や粒成長について従来法の場合と比較検討した。また,複動式に限らないが,高温に対応できる,ツールを種々開発した。
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