研究概要 |
本研究で開発した、プローブーショルダ同軸回転制御摩擦攪拌接合装置(複動式FSW装置)を用いて板厚5mmの実用Al合金5083、板厚1.6mmのIF鋼および炭素鋼、板厚2mmの工業用純Tiの接合を行った。ショルダ部(外部)の回転速度を0〜1750rpm,プローブの回転を0〜1750rpmの範囲で変化させることにより,得られた継手特性に及ぼすショルダおよびプローブの回転速度の影響を明確にした。その結果、欠陥を発生させない条件においては、プローブの回転速度はあまり継手の強度には影響せず、ショルダの回転速度によって、継手の引張強さが大きく変化することを明らかにした。これは、プローブよりショルダからの入熱量が多いことを示している。一方、欠陥の発生に関しては、プローブの回転速度が大きく影響し、250rpm以下では、たとえショルダの回転速度を増加させても欠陥が発生した。また、これを応用してプローブのみを高速で回転し接合する手法、すなわち、ショルダレスFSW手法を確立した。 一方、特にある温度域で急激に軟化が生じるTi合金の場合には、ショルダからの入熱を抑制するばかりか、抜熱効果も期待できるショルダレスFSWが有効であることを明らかにした。TEM,EBSPを用いて結晶粒の方位,粒径,形状等を詳細に解析し,攪拌部における塑性流動や粒成長等を検討することによりプローブのみを回転させた場合には、攪拌部を小さくすることができるとともに、接合部の硬度低下を抑制できることが明らかにした。
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