研究概要 |
今年度は有限要素法を用いて,塑性加工における金型表層部の応力状態をシミュレートし,その結果を踏まえて,金型内蔵マイクロセンシングシステムの設計を行った.さらに,半導体プロセスを用いて,マイクロセンサの試作を行った.試作したマイクロセンサを板材曲げ金型に内蔵し,曲げ加工時の曲げ荷重や曲げ角度の測定を試みた. 具体的な研究成果を以下に示す. (1)金型内蔵マイクロセンシングシステムの設計 FEMを用いた加工のシミュレーションを行い,加工中の素材の塑性変形と金型の微小な弾性変形及び応力分布を連成解析で解析・評価した.具体的には,板材の曲げ加工を取り上げ,連成解析によって,加工工程における素材と金型の変形をシミュレーションし,マイクロセンサチップ上のピエゾ抵抗ゲージの配置や金型への内蔵位置を決定した.さらに,マイクロセンシングシステムによって,得られるセンサ情報の予測を行った. 曲げ加工では重要な曲げ角度の計測のために必要なマイクロゲージの感度,ゲージの数及びその配置を求め,マイクロセンサの設計仕様を決定した. (2)マイクロピエゾ抵抗ゲージの創製・評価 半導体マイクロデバイス製造技術と特性の評価技術を利用して,半導体マイクロピエゾ抵抗ゲージの設計と創製を行った.具体的には,単結晶シリコンの表面に局部的にボロン等をドープすることによって,そこの電気抵抗を制御する.薄膜評価特性技術を用いて,ボロンドープ部の電気抵抗を測定評価する.また,センサチップに負荷を加え,半導体ピエゾ抵抗ゲージの応力応答特性を評価した. (3)金型内蔵マイクロセンシングシステムの評価 板材曲げ金型に創製したマイクロセンサを内蔵させ,金型に各種外力を作用させて垂直応力,せん断応力,さらに分布荷重を負荷した場合のセンサ特性を評価した.
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