Ni基板上にPtCl_6^<2->水溶液を滴下することにより作製したPt-Ni合金触媒がPtより負の電位でCO酸化電流ピークを示す原因を明らかにするために、まず、Ni上でのCO酸化特性をEQCM法により調べた。その結果、以下の結果が得られた。 1)Niのアノード溶解開始電位がCOの吸着により約300mV正電位側にシフトする。 2)Niのアノード溶解量はCOの吸着により大きく減少する。 3)COの吸着したNiのアノード溶解開始電位は電解液として用いた硫酸の濃度に依存し、COの酸化反応がトリガーとして働いている。 これらの結果より、NiにCOを吸着させることによりアノード溶解を効果的に抑制できることが明らかになった。 また、COを前もって吸着させた場合と吸着させなかった場合において、Pt-Ni合金触媒上での水素酸化反応に対する動力学的データを得るために、これらの触媒を用いて水素酸化反応の対流ボルタンメトリーを行ったところ、以下の結果が得られた。 1)COを前吸着させた場合にも酸化電流が流れる。 2)酸化反応は、Koutecky-Levichプロットから2電子であり、水素酸化反応である。 3)Tafel勾配は裸の場合には約30mV/decadeであったが、COを前吸着させた場合には約40wV/decadeになり、律速過程が変化していることを示唆している。 これらの結果より、Pt-Ni合金触媒はCOを前吸着させた場合でさえ、水素酸化能を保持することが明らかになった。
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