研究概要 |
1.Pt-カルボニル錯体を前駆体とする新Pt-Ni触媒の作製とそのキャラクタリゼーション K_2PtCl_6を水/アセトニトリル(1:1)混合溶液(以下PtCl_6^<2->溶液と呼ぶ)に溶解させた後、COを吹き込みながらUV-可視吸収スペクトルの経時変化を調べたとき、265nm付近のPtCl_6^<2->に帰属される吸収ピークはCO吹き込み時間の増加とともに減少し、540nm付近の[Pt_3(CO)_6]_3^<2->に帰属される吸収ピークが増大した。1mM PtCl_6^<2->溶液に5,30,60分間COを吹き込んだ溶液を用い、これまで行ってきた手法によりPt-Ni/Ni電極を作製し、0.05M硫酸水溶液中でサイクリックボルタモグラムを測定した。5分間CO吹き込んだ場合に、Pt上への水素吸脱着ピークが最も大きくなり、CO吹き込み時間の増加とともに水素吸脱着ピークは小さくなった。また、SEMより、CO吹き込み時間の短い方が密に析出していることが明らかになった。 2.Pt-Ni触媒の水素酸化活性および水素酸化反応に対する耐久性の評価 Pt担持量を減らす目的で1mM PtCl_6^<2->を含む0.05M硫酸水溶液をNi基体上に滴下させることによりPt-Ni/Ni電極を作製した。このときのPt担持量は理論上0.02mg/cm^2であった。回転電極測定装置を用いて水素酸化反応の対流ボルタモグラムを測定したところ、Pt電極の場合と同様、2電子酸化プロセスで進行し、Tafel勾配は30mV/decとなった。また、-0.68V vs.Hg/HgSO_4での定電位電解において水素酸化電流の低下はほとんど認められず、この電位ではPt-Ni合金触媒は安定に働くことが明らかになった。COを前吸着させた場合にも、水素酸化電流は観測された。2電子酸化プロセスで進行すると仮定したとき、Pt-Ni合金上のCOによる被覆率は約40%であると見積もられた。
|