研究課題/領域番号 |
17360363
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
平野 敏幸 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, ディレクター (90354183)
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研究分担者 |
出村 雅彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主任研究員 (10354177)
岸田 恭輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (20354178)
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キーワード | 金属間化合物 / ニッケルアルミナイド / 冷間圧延箔 / レーザー溶接 / スポット溶接 / シーム溶接 / 溶接欠陥 / 溶接割れ |
研究概要 |
申請者らが世界で初めて開発したNi_3Al冷間圧延箔の溶接技術の確立を目的として、レーザー溶接の研究を行った。その主な結果は以下のとおりである。 1.Ni_3Al冷間圧延箔の再結晶・機械的性質の測定結果 ボロンを含まないNi_3Al単相冷間圧延箔は、応力集中を緩和できるだけの局所的な延性があるが、巨視的には延性を示さなかった。この冷間圧延箔は、再結晶後、十分な粒成長段階まで熱処理を行うと、構成する粒界はΣ1、Σ3等の延性粒界がほとんどとなり、10%程度の延性を示すことがわかった。また、Ni_3Al単相箔の他にも、Ni_3Al/Ni2相箔の製造技術を確立するため、塑性変形機構を明らかにした。 2.レーザースポット溶接の結果 YAGパルスレーザーを用いて、Ni_3Al冷間圧延箔のスポット溶接におよぼす箔厚さの影響を調べた。薄い30μm箔は、溶融部中央の収縮孔表面に極微細な粒界割れが発生するが、それ以上伝播することがなく、良好な溶接性を示した。厚い100μm箔では、収縮孔の粒界割れが周辺の熱影響部から母材にまで伝播した。この割れ伝播は、パルスレーザーで溶融する前に、YAG連続レーザーで予備加熱することにより、防止できる。適切な連続レーザー照射条件を明らかにした。スポット溶接におよぼす箔厚さ、予備加熱の効果を、溶接時に発生する熱応力と破壊強度の関係から説明できることを示した。 3.レーザーシーム溶接の結果 直接ダイオード励起レーザーを用いて、Ni_3Al冷間圧延箔および再結晶箔のシーム溶接特性を調べた。スポット溶接と異なり、シーム溶接では2種の箔とも、巨視的な溶接割れは発生せず、良好な溶接が可能であることがわかった。シーム溶接では溶接時に発生する熱応力が小さいと考えられることを示した。
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