研究課題/領域番号 |
17360366
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
一色 実 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20111247)
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研究分担者 |
三村 耕司 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (00091752)
王 吉豊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (30271977)
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キーワード | ジルコニウム / ハフニウム / 薄膜 / 酸化 / 誘電特性 |
研究概要 |
ナノメートルオーダーの酸化膜は、例えばMRAM素子には絶縁膜として、また、ULSIにおいてはMOSFETのゲート絶縁膜として利用されている。ナノレベル酸化膜の安定化と特性制御を行うことは極めて重要と考えられ、そのためには金属の初期酸化機構の解明と、それに立脚したストイキオメトリー制御技術の開発が不可欠である。本研究の目的は、ナノレベル酸化物の特性制御に不可欠なストイキオメトリー制御に関する指導指針を得ることにある。 平成18年度の研究では、17年度に作製した高純度ターゲットを用い、ZrおよびHfのイオンビームデポジションを行った。Zr薄膜にっいては、本研究の主目的である酸化実験を行い、酸化条件の最適化を行うと共に、18年度主要設備として購入した薄膜電気特性評価装置を用い、誘電特性および電気特性を評価し、金属薄膜形成時の基板バイアスおよび酸化字の紫外線照射の効果を明らかにした。以下に詳細を述べる。 1)温度および時間を変え、酸素雰囲気中における薄膜の酸化実験を行い、SEM、EDX、XRDおよびTEMによる評価を行った。その結果、200℃の低温で単相の酸化膜が得られ、従来の反応性スパッタでは完全な酸化のために700℃のポストアニールが必要であるが、プロセス温度の大幅な低下を可能にした。 2)基板バイアスOVおよび-50Vで作製したZr薄膜を同一条件で酸化した後、誘電率を測定した結果、基板バイアス-50Vで作製した膜の誘電率は大きく、これまでの報告を上回る値を得ることが出来た。このことは、金属薄膜の欠陥の有無が酸化膜の完全性に大きく影響することを示している。 3)Pt/ZrO2/Pt/Si構造を作製し、酸化過程における紫外線照射の電気特性に及ぼす影響を調べた。その結果、基板バイアス-50Vで作製し、酸化中に紫外線を照射した揚合に、リーク電流は最も小さくなることを明らかにした。このことから、酸化中の紫外線照射はストイキオメトリーからのずれに起因する欠陥濃度の減少をもたらす可能性を有することを明らかにすることができた。
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