研究概要 |
金属粉の用途や性能はその形状やサイズによって決定される.したがって,形状やサイズを粘度良くかつ簡単に制御することが可能になれば,今後新たな用途や性能の向上が期待できる. 本研究では,ニッケル,銅,コバルト等のアンミン錯体溶液とシュウ酸溶液から針状等形状を制御したプリカーサーを合成し,次にこれを熱分解して針状等形状を制御した金属微粒子を得ることができた.金属微粒子の形態は,ニッケルでは長さ100ミクロン,幅数十ナノメータの針状であった.熱分解温度が高いほどチェーン状に変化することが明らかとなった.粒子サイズが微細になるにしたがい,粒子同士が凝集して大きな凝集体を形成する傾向にあったが,沈殿反応時に高分子を分散剤として添加することにより,凝集を大幅に防ぐことができた. アンモニアを添加しない場合は,水酸化物を出発物質とすることで,単分散の直方体状粒子を得ることができた. このプロセスを銅微粒子合成に適用し,ニッケルの場合と同様に,沈殿反応時のイオンの賦存状態や過飽和度を制御することで,棒状や球状の微粒子を得ることができた. さらに,ポリオール法による銅微粒子合成について検討し,形態を制御したナノオーダーの微粒子を合成した. 2種類の還元剤を順番に加えることにより,まず1価の酸化銅に還元したあと,0価の金属に還元した.1段目の還元反応をゆっくり生じさせることにより爆発的な核生成が抑えられ,均一な粒子径の酸化銅が形成され,2つ目の還元剤を加えるとその酸化銅が還元されるため,均一な銅粒子が得られた.粒子保護剤としてポリビニルピロリドンを用いた場合,約80nmの単分散の非凝集体の粒状銅粒子が得られた.
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