研究分担者 |
岩井 芳夫 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80176528)
米澤 節子 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50294898)
下山 裕介 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (30403984)
田村 和弘 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (20143878)
東 秀憲 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (40294889)
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研究概要 |
本研究は、超臨界二酸化炭素に対する含フッ素化合物の溶解度に及ぼすフッ素修飾基の影響を明らかにすることを目的とし、溶解度測定を系統的に行い分子シミュレーションにより考察を加え、次の成果を得た。 ヒドロホルミル化触媒として用いられているRh錯体の超臨界二酸化炭素に対する溶解度測定を行った。配位子として、トリフェニルポスフィン(TTP)、トリス(p-トリフルオロメチルフェニル)ボスフィン(TTFMPP)を選択した。赤外吸収スペクトル分光法により超臨界二酸化炭素中の溶質濃度を決定した。配位子ならびにRh錯体の溶解度は、フッ素修飾されたTTFMPPおよびRh-TTFMPPいずれも、フッ素修飾されていないTPP、Rh-TPPより増大することが確認された。 含フッ素化合物のモデル物質として、2-,3-トリフルオロメチル安息香酸を選択し、昇華圧測定を行った。本測定では、あらかじめ平衡セル中に含フッ素化合物を仕込み、平衡状態に達した後、気相濃度を紫外可視分光法により決定し、理想気体の式より昇華圧を決定した。その結果、満足な昇華圧データが蓄積された。また、2-,3-トリフルオロメチル安息香酸の昇華圧は314K付近で交差することが示された。 超臨界二酸化炭素+含フッ素化合物の分子動力学(MD)シミュレーションを行い、考察を加えた。2-,3-,4-トリフルオロメチル安息香酸および2-,3-,4-メチル安息香酸を溶質とした系で計算を行った。その結果、トリフルオロメチル安息香酸分子内のトリフルオロメチル基に二酸化炭素分子が集まる(溶媒和する)ため、フッ素修飾化合物の溶解度が増大することが明らかになった。 以上より、溶解度促進にフッ素の導入が有効であること、その原因は溶媒和にあることが明らかとなった。
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