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2005 年度 実績報告書

ナノ有機-無機協奏触媒系の構築と機能開発

研究課題

研究課題/領域番号 17360389
研究機関広島大学

研究代表者

犬丸 啓  広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80270891)

キーワードナノ構造 / 有機無機複合体 / メソ多孔体
研究概要

本研究では,ナノ空間中で修飾有機基がっくりだす反応場と無機触媒活性点が協力して高機能を発現する「ナノ有機-無機協奏触媒」のコンセプトの確立を目的としている。初年度は,Pd/メソ多孔アルミナをベースとしてシンナムアルデヒド(3-フェニル-2-プロペナール)の水素化選択性制御を行った。窒素吸着測定から、Pd担持後もMPAの細孔構造は保持されていた。クロロプロピル基有機修飾後もナノ空間の半分近くの体積が残っているので、反応分子はナノ空間内の活性サイトに容易にアクセスできると考えられる。水素化反応は、トルエン溶媒中、水素1atm,室温で行った。反応の生成物は3-フェニルプロパノール(POL)と3-フェニルプロピオンアルデヒド(PAD)であった。PADからPOLへの逐次的な水素化は観測されず、第一ステップの水素化選択性をこれらの生成物選択性で議論できる。すなわち、POL/PAD比が第一ステップのC=O水素化/C=C水素化の速度比に対応する。有機基を修飾しないPd/MPAではPOL選択性は15%程度であったが、クロロプロピル基を修飾した触媒では30%-40%となり、有機修飾により選択性が大きく変化した。有機基とPdの相互作用を捕らえるため、X線光電子分光装置をもちいてPdと塩素の電子状態を調べたところ、Pdは有機基との相互作用により0.4eVほど負電荷側へシフトしていた。塩素はこれに符合する形で正電化側にシフトしていた。この結果に従えば、Pdはクロロプロピル基と相互作用し幾分負電荷を帯び、それにより正電荷をもつカルボニル炭素をより選択的に活性化する機構が推定される。以上、ナノ空間の有機修飾により水素化選択性が制御できることがわかった。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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