研究課題/領域番号 |
17360412
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
齋藤 宏文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙情報・エネルギー工学研究系, 教授 (80150051)
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研究分担者 |
戸田 知朗 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙情報・エネルギー工学研究系, 助教授 (60321569)
山本 善一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙情報・エネルギー工学研究系, 教授 (60183985)
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キーワード | 深宇宙探査 / X帯・Ka帯 / アレイ型深宇宙局 / 送受信信号合成 |
研究概要 |
JAXAは深宇宙探査のダウンリンクにKa帯を使用する希望がある。しかし、深宇宙通信に使用されている臼田宇宙空間観測所の64mアンテナは仮にKa帯用に作り直したとしても効率の劣化とコスト増のために適さない。代わりに、10mから20m級の低価格なアンテナのアレイ構成で64m相当の能力を実現する手法の方が有望である。 64mアンテナと等価な能力を実現するにあたり、これまでにアレイ内の各受信信号間の位相差を推定し信号合成する方法について検討を重ねた。この分野で先行するNASA/JPLが分類提示するFSC (Full-Spectrum Combining)方式と、我々が国内実現に向けて代替案として提示するFSC AOLPE (aided by open-loop phase estimation)方式を比較すれば、64m相当の受信S/Nを得るにはFSC方式で10mアンテナを120基必要とするのに対し、FSCAOLPE方式ならば40基で済むという結果になった。これはFSC方式では位相比較時にキャリアループ帯域を1Hzまで狭窄可能であるが、FSC AOLPE方式ではオープンループ位相推定によって最終的に0.1Hzまで狭窄する違いが現れている。 これをシミュレーションだけでなく実際の探査機からの信号を受信して検証評価する目的でオープンループ受信機を製作している。18年度は、S/X帯の受信信号のRF/IFコンバータ機能を設計・製作した。19年度前半には後段の更なる切換式の帯域制限とAGC機能の追加を予定している。18年度製作部分のみで臼田局と組み合わせて予備的なデータを取得することは可能で探査機「はやぶさ」の信号を取得する計画を立てているところである。 最終的に追加機能と合わせ臼田局の立地環境における電離層遅延や大気ゆらぎが与える信号合成効率への影響の見積りや実際の探査機の送信信号でのオープンループ位相推定時のキャリア帯域の狭窄化の限界を評価することを目指す。
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