研究概要 |
海上プラントや生産設備めような大規模構造物は長寿命であり,長期間メンテナンスを行いながら利用される。本研究では,メンテナンス作業の迅速化と低コスト化を支援するシミュレーション環境を構築するために,近年急速に進歩した大規模建造物向けのレーザスキャナ装置を用いて,現物の3Dモデルを作成する技術を研究した。本年度は,この処理を自動化するための技術として,大量点群をストリーミング形式で処理し,平滑化された3Dメッシュモデルを作成する技術を開発した。通常のプラント計測では,一回の計測で5000万点程度が取得され,それらのデータには多くの異常値や誤差が含まれる。こうしたデータを扱うには,これまで64ビットマシンで大量のメモリを積む必要があったが,本研究で開発したストリーミング手法を用いることによって,点の個数が増えても,少ないメモリで,全自動で処理することが可能となった。さらに,ロバスト推定を用いた強力な平滑化処理によって,誤差の大きいデータから,元の滑らかな曲面を推定する技術を開発した。また,システムにソリッドモデル作成機能を追加し,メッシュモデルからソリッドモデルを作成するための基盤もあわせて作成した.メンテナンス作業では,現物に基づいて作成されたモデルに基づいて,プランとの改修を検討する。そのため,生成されたメッシュモデルを容易に変形できれば有用である。本研究では,メッシュ編集技術についても研究開発を行い,現物のモデルを必要に応じて変形する技術を開発した。これらの技術は,これまで長時間の人手による作業時間を飛躍的に削減するために大きく貢献するものである。
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