研究課題/領域番号 |
17360416
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
賞雅 寛而 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (20134851)
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研究分担者 |
石丸 隆 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (90114371)
元田 慎一 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教授 (10190969)
波津久 達也 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教授 (60334554)
古谷 正裕 財団法人 電力中央研究所, 原子力技術研究所, 主任研究員 (80371342)
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キーワード | 海洋工学 / 海洋保全 / 船舶・海洋構造物 / 防食技術 / 材料加工・処理 / 放射線,X線,粒子線 / 放射能 / 放射線誘起表面活性 |
研究概要 |
船舶・海洋構造物は、海洋環境という腐食に対して極めて厳しい環境下にあり、鋼材を腐食から守るための十分な防食対策と維持管理が必要となってくる。その防食対策として、現在では塗装法や、流電陽極法(犠牲電極法)に代表される電気防食法が用いられているが、塗装皮膜の耐衝撃性や犠牲電極の長期連続使用に劣るというデメリットがある。そこで本研究では、主に原子炉プラント内での防食技術であったRISA(放射線誘起表面活性:Radiation Indused Surface Activation)防食法をその高い応用性から船舶・海洋構造物の防食及び塗料への応用することを最終目標とし、材料自身を放射化させて、そこから発するγ線を利用するRISA自励防食技術における基礎実験を行った。その結果、SUS304ステンレス鋼の電気化学測定及び表面様相観察の結果から、小型密封放射線源^<60>Co及び放射化試験片を用いることにより、非放射線環境下であってもRISAによる防食性が向上したことを以下のように確認した。 1 試験片に小型密封放射線源^<60>Coを密着させ、その裏面から照射されるγ線を利用した実験により、ステンレス鋼の不動態皮膜をより強固にすることで局部腐食の発生を抑制し、RISA防食法が放射線照射施設外においても応用できることがわかった。 2 放射化試験片自らが発するγ線を利用した実験により、中・強放射化試験片では安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることがわかった。 3 試験片の照射積算線量(放射化量)を変化させた場合、その積算線量の増加により防食効果も増大することがわかった。また、防食のために必要な積算線量は、60kWh以上がその閾値であることがわかった。このことから、非放射線照射環境である海洋においてもRISA防食効果が十分に適用可能であることが示された。
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