研究概要 |
1.高温高圧反応場に置けるソノケミストリ応用の可能性 反応容器に超音波を入射できる小型バッチ式反応装置を製作し、反応容器を加熱して高温高圧水中に超音波を入射、同様な歪み波形の観測が可能かどうかを調べ、これをキャビティ発生の判断基準とする超臨界水の条件(374℃,22MPa)まで昇温させて温度による影響の有無を調べた。超臨界水条件でも超音波を利用したホットスポットの発生は可能であり、これによるソノケミストリ反応が水熱反応における反応効果の促進に有効な可能性が示された。 ビチュメン等の実際に反応プロセスの対象となる物質については十分に有効な反応条件の詳細まで明らかにすることはできなかった。この一因として本実験に使用した装置では反応管内部の撹搾ができないため均一な反応を行わせて比較することが困難であった為と考えられる。 2.硫化水素による水からの水素生成の検討 平成17年度までに、加硫ゴムおよび硫化水素によるCO_2の還元固定について検討し、CO_2の還元固定効果は硫化水素による水からの水素によりCO_2を還元したと推測される。よって、硫化水素による水からの水素生成反応に及ぼす反応条件の影響および反応機構について調べた。 (1)硫化水素による水からの水素生成反応に及ぼす反応条件の影響 (a)硫化水素による水からの水素生成反応には250℃以上のアルカリ水熱反応場が必要であることがわかった。 (b)反応時間の増加に伴い、60minより早い時間で水素の発生量は急増するが、60min以後の増加は横ばいになる。 (c)水素の発生量はHS-の量に依存する。 (2)硫化水素による水からの水素生成反応機構 反応後の水溶液についてイオン分析を行った結果、亜硫酸・チオ硫酸イオンが検出された。この結果から、H_2Sが酸化され、電子を放出して還元のために電子を供給したものと考えられる。 3.炭水化物を還元剤とした場合のCO_2還元の検討 炭水化物のモデル物としてグルコースを用い実験を行った結果、反応後CO_2量は若干減少していたが、グルコースの有無による有意な差はみられなかった。
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