研究課題/領域番号 |
17360429
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白鳥 寿一 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (20396469)
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研究分担者 |
石田 秀輝 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (10396468)
井奥 洪二 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (60212726)
井上 千弘 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (30271878)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (10311549)
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キーワード | 土壌 / 汚染物質 / 分解 / 吸着 / 風化 |
研究概要 |
本研究の目的は、土壌に存在する粘土鉱物・金属鉱物および有機物などのナチュラル・アッテネーション能力を解析し、汚染物質を分解・吸着することで受動的に浄化する機能を持つパッシブ・レメディエーション・ソイル(PRS)の作成を目指すものである。 昨年度の研究において、土壌中の有機塩素化合物(VOC)の分解に対する金属鉄の有効性が確認された。しかし、土質によっては金属鉄がもつVOC分解作用が著しく低下する場合もあることか分かっており、土壌由来の何らかの成分が阻害要因となっていると考えられるため、土壌溶出成分と鉄粉との反応を調査した。この実験の結果、土壌溶出成分であるMg^<2+>やCa^<2+>などの陽イオンと土壌および鉄粉からの溶出成分てあるSO_4^<2->が結合して鉄粉表面において難溶性の塩を形成していることがわかった。VOCの分解機構は鉄粉表面における電池反応による脱塩素であるから、鉄粉表面に生成した難溶性塩が鉄粉のVOC分解を阻害しているものと考えられる。 また昨年度は、高濃度重金属水溶液を使用した土壌への吸着試験を行い、風化度合いの違いにより土壌への重金属の吸着量にも違いがあることが確認された。そこで、水熱反応を利用し人工的に風化度合いを制御した土壌を作成し、重金属の吸着量の変化を確認した。火山ガラスがアロフェンに変化する条件の水熱反応を施したローム土壌では、鉛を高濃度に含む水溶液からの鉛の吸着が、水熱反応実施前と比較しおよそ100倍となり、人工的な風化によって吸着量が上昇していることが確認された。 以上の研究結果から、PRSの作成に必要な土壌中での汚染物質の移動や分解に関する様々な知見を得ることが出来た。
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