研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、土壌に存在する粘土鉱物・金属鉱物・金属および有機物などの吸着や化学分解効果によるナチュラル・アッテネーション能力を解析し、汚染物質を受動的に拡散防止する機能を持っパッシブ・レメディエーション・ソイル(PRS)の作成を目指すものである。17年度の研究において、土壌中の有機塩素化合物(VOC)の分解に対する金属鉄をPRSとしてしようすることの有効性が確認された。しかし、併せて土質によっては金属鉄が持つVOC分解作用が著しく低下する場合もあることが分かった。この原因として土壌由来の何らかの成分が阻害要因となっていると考えられるため、18年度は土壌溶出成分と鉄粉との反応を調査した。この実験の結果、特定条件下では、土壌溶出成分であるMg^<2+>やCa^<2+>などの陽イオンと土壌及び鉄粉からの溶出成分であるSO_4^<2->が結合して鉄粉表面において難溶性の塩を形成し、鉄粉表面に析出する現象が確認された。VOCの分解機構は鉄粉表面における電池反応による脱塩素であるため、鉄粉表面に生成した難溶性塩が鉄粉のVOC分解を阻害しているものと考えられる。特定条件は、海浜粘土層で起こることもわかった。また、17年度の研究で、高濃度重金属水溶液を使用した土壌への吸着基礎試験を行い、風化度合いの違いにより土壌への重金属の吸着量にも違いがあることが確認された。そこで、18年度は水熱反応を利用し人工的に風化度合いを制御した土壌を作成し、重金属の吸着量の変化を確認した。火山ガラスがアロフェンに変化する条件の水熱反応を施したローム土壌では、鉛を高濃度に含む水溶液からの鉛の吸着が、水熱反応実施前と比較しおよそ100倍となり、人工的な風化によって吸着量が上昇していることが確認された。以上の研究結果から、PRSの作成に必要な土壌中での汚染物質の移動や分解に関する様々な知見を得ることが出来たことにより、拡散防止を行いたい工場などの種類や立地箇所に応じ、具備すべき条件設定が可能となった。
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資源・素材2006(福岡)講演要旨集
ページ: 121-124
第12回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集
ページ: 455-460
ページ: 707-710
Proceedings of the 12th Symposium on Soil and Groundwater Contamination and Remediation
Proceedings of the J-MMAJ 2006
資源・素材2005(室蘭)講演要旨集
ページ: 101-102
Proceedings of the J-MMAJ 2005