研究概要 |
本年度はアスペクト比2のRFP実験装置の詳細設計を終えて,装置の製作を開始した.目標とするプラズマパラメータ領域はプラズマ電流100kA,ピンチパラメータΘが1.6<Θ<2.0,磁場反転パラメータFがF=-0.2である.現有のSTE-2RFP装置の鉄心を利用した低アスペクト比化に重点をおいて真空容器,トロイダルコイル系,ポロイダルコイル系の詳細設計および製作を行った後,RFP実験装置としての組み立てを開始した.一方,低アスペクト比RFP平衡磁場配位の解析を詳細に進め,RFPを低アスペクト比化することにより,安全係数分布が中心部で平坦化され,周辺部で急峻化することを確かめた.また,安全係数分布に対する非円形度および三角度の効果を明らかにした.磁場揺動の振幅が単一モードに集中する(準)単一ヘリシティー(QSH)RFP配位については,2つの研究を進めた.アスペクト比4のSTE-2RFP装置において外部から共鳴回転ヘリカル磁場を加えてQSH配位を実現させることを試みた.モードスペクトルは中心共鳴モードに鋭いピークを示すが,隣接モードの振幅が十分に低下せず,QSH配位への遷移は観測されなかった.隣接モードの磁気島回転を駆動するのに十分なイオン粘性の効果が得られなかったためと考えている.一方,ウィスコンシン大学のMST装置(アスペクト比3)において,QSH配位への自発的遷移のダイナミクスを調べた.F=0の非反転放電か,または高いプラズマ電流値でQSH様モードスペクトルへの自発的遷移が起こりやすく,非反転放電においてはQSH状態が比較的長時間維持されており,ヘリカル平衡RFP配位の実現に繋がる可能性のあることがわかった.
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