研究課題
将来の核融合炉あるいは既存の核分裂炉の燃料サイクル施設において大量のトリチウム排水が生じる。法規制値内であれば、そのまま放流できるが、規制値を超える場合、大量の水で希釈する。希釈放流できる場合はそれほど困難ではないが、トリチウム濃度が高く、濃縮減容する必要がでてくると、現在では、水-水素同位体交換法が重水減速材製造用に一部実用化されているだけであり、トリチウム排水濃縮に適用するためには、希釈トリチウムの濃縮技術が証明されていないこと、水-水素同位体分離に使用する白金系触媒が高価なことなど多くの課題があり、現実的にトリチウム濃縮はおこなわず、そのまま保管貯蔵されているのが現実である。本研究者は、水蒸気吸着処理に用いられるゼオライト系吸着剤あるいはシリカゲルの軽水-トリチウム水間の同位体分離係数が、1.1〜1.2程度であることに着目し、これを連続同位体分離できる蒸留塔分離システムを構築し、より小型で簡便なトリチウム同位体分離システムの実験をおこなった。本科学研究費補助金の最終年度には、ゼオライト系吸着剤であるモレキュラーシープ13Xとこれまでのシリカゲル吸着剤を同位体分離挙動全般について比較し、ゼオライト系では平衡分離係数は大きいが、吸着と脱着速度が遅く(従ってHETPが大きく)蒸留塔の蒸気速度が遅いときのみ同位体分離が優れるが、同位体収量を上げるため蒸気速度が大きくすると、前年度求めたシリカゲル吸着剤による方が高い分離を示すことが分かった。これまでの研究成果は日韓中の共同開催であるCross-Straightシンポジウムで発表するとともに、成果を英語論文誌に発表した。最終年度であるので、成果をまとめて研究成果報告書を完成させ、提出する。
すべて 2007 その他
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