研究課題/領域番号 |
17360450
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三村 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10091753)
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研究分担者 |
新堀 雄一 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90180562)
佐藤 修彰 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70154078)
林 拓道 産業技術総合研究所, 東北センター, 主任研究員 (20344228)
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キーワード | マイクロカプセル / パラジウム / 選択的分離 / 不溶性フェロシアン化物 / イオン交換 / 酸化還元 / 耐放射線性 / アルギン酸 |
研究概要 |
不溶性フェロシアン化物の一種であるヘキサシアノ鉄(II)酸銅(II)カリウム塩(K_<2-x>Cu_<x/2>[CuFe(CN)_6]・nH_2O,CuFC)は、Pd吸着に対して高選択性を有し、高濃度酸溶液からPdを選択的に分離することが可能である。本イオン交換体は約50nmサイズの微結晶の集合体であり、そのままでは接液、固液分離など取扱の面で問題がある。本イオン交換体の粒状化の試みとして、バイオポリマーの一種であるアルギン酸を固定担体として用いて、CuFC-Caアルギネート複合体を調製し、本複合体の物性評価、Pdの吸着特性について検討し、以下の成果を得た。 (1)複合体の表面形態と物性評価:アルギン酸のカルボキシル基はCa^<2+>を取り込み、積層することにより架橋してゲル化する。CuFCは球状のゲル粒子中に均一に包括固定された。本複合体は、高濃度の一価カチオン溶液中では膨潤するが、酸添加により抑制できる。^<60>Co-γ線を不溶性フェロシアン化物に照射し(照射線量範囲:0.76×10^7〜2.64×10^7R)、X線回折(XRD)により構造変化を調べ、Pd^<2+>吸着率の変化を調べた。XRDでは変化は認められず、Pd^<2+>吸着率にも大きな変化は認められないことから、高い耐放射線性を有していることが確認された。 (2)Pdの吸着特性:Pdの吸着速度は温度と共に増加し、2.5M硝酸溶液中では5日でほぼ平衡に達し、98%以上の高吸着率を示した。Pd吸着後はPd^0が検出され、イオン交換と酸化還元でPdが取り込まれることが分かった。1 M HNO_3溶液中での、各核種の吸着率の序列は、Pd>Cs>>Ru>>Rh>>Co>Na>Am>Eu>Srであり、Pd/RuおよびPd/Rhの分離係数は、72.8および193と高い値が得られ、白金族元素の相互分離に利用できる。模擬高レベル廃液(28分系)に本複合体を浸漬し、吸着核種の分析により、CuFCにPdとCs,CaアルギネートにRuとZrが検出された。
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