研究課題/領域番号 |
17360450
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
原子力学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三村 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10091753)
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研究分担者 |
新堀 雄一 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90180562)
佐藤 修彰 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70154078)
林 拓道 産業技術総合研究所, 東北センター, 主任研究員 (20344228)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 高レベル廃液 / 有用元素 / パラジウム / 不溶性フェロシアン化物 / フルギネートゲル / マイクロカプセル / 選択的分離回収 / イオン変換 |
研究概要 |
使用済核燃料の再処理工程から排出される高レベル放射性廃液(HLLW)中には、種々の有用元素が含まれている。現在、HLLWは、ガラスと混合して溶融固化し、多重バリアを施した後、安定した地層中に埋設する計画である。HLLW中のパラジウム(Pd)は、溶融固化時に析出し、ガラス固化を困難にする可能性がある。希少元素であるPdを廃液から選択的に分離・回収できれば、廃液処理の高度化が図れ、かつ有用核種として有効利用が可能であり、元素戦略の観点からも重要である。本研究では、Pdに対して高い選択性を示す不溶性フェロシアン化物を調製し、Pd^<2+>の高度分離・回収技術を開発した。以下に研究成果を示す。 (1)不溶性フェロシアン化物の吸着速度は比較的大きく、KCuFCに関しては、10分で99.9%という高い吸着率を示し、吸着速度の序列は、KCuFc >KNiFC>KCoFCであった。Pd吸着はイオン交換/酸化還元による特異的吸着である。Pd^<2+>吸着率は、0.3〜7.0Mの広い硝酸濃度範囲において、90%を超え、Pd^<2+>を吸着後、不溶性フェロシアン化物を熱分解し、酸処理することにより、不溶解残渣としてPd0を高純度で回収できた。 (2)不溶性フェロシアン化物は微粒子であり、カラム操作のための造粒法として、アルギネートゲル担体によるマイクロカプセル(MC)化を実施した。MC充填カラムのPd破過容量は、5M硝酸共存下で0.031mmol/gであり、0.1Mのチオ尿素を43mlを通液し、約92%のPd^<2+>をチオ尿素中に溶出可能である。 (3)KCuFCとNa-ALGとの混練ゾルをろ紙上に塗布し、Ca^<2+>水溶液を噴きつけることで、ろ紙を支持体として厚さ数μmのKCuFC内包型アルギネートフィルムシートの製造に成功した。フィルムの厚さも調整でき、今後は、透過性の高いフィルムを調製し、交換フィルターまたは液体膜によるPd^<2+>の選択的分離・濃縮への展開・応用が期待できる。
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