研究概要 |
トラップ電極に印加するrf電圧振幅およびDC電圧を調整することにより任意の同位体のみをトラップし,それを光学的な手法により確認することに成功した,具体的には以下の通りである。レーザアブレーションにより発生させたカルシウムイオンを四重極型トラップにより,直接トラップする。この際,複数のカルシウム同位体がトラップされることになるが,電極に印加するrf電場の電圧を増加させて行くにつれて,軽いカルシウム同位体から順に排除できることを実験的に確認した。またDC電圧を印加していくにつれて,rf電圧に応じて軽いあるいは重い同位体から順に排除できること実験的に明らかにした。これらの実験は,イオンをレーザ冷却することで同位体シフトをレーザで分解することが可能となっている。そこでトラップイオンの同位体判別はレーザ冷却後にレーザ周波数を着目同位体の共鳴周波数に合わせた際のレーザ誘起蛍光により確認した。これらを組み合わせることで任意の単一同位体のみをトラップすることが可能になる。この結果を,SIMIONを用いた数値計算とも比較した。この数値計算は単一イオンに対する数値計算がメインであるが,同様の傾向を示しており実験結果が少量イオンを対象にしていることから考慮して,合理的な結果を得ることができた。本研究により,単一イオンの検出および同位体イオン操作が可能となり,極微量同位体分析を行うための基本的な操作法を確立したと言える。
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