研究課題/領域番号 |
17360456
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (80158039)
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研究分担者 |
小栗 慶之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (90160829)
中野 裕美 龍谷大学, 工学部, 実験講師 (00319500)
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キーワード | セラミックス / 格子欠陥 / 放射線損傷 / 炭化ケイ素 / 窒化ケイ素 / 熱膨張計 / 等温焼鈍 / 中性子照射損傷 |
研究概要 |
種々の結晶構造をもつ化合物に中性子照射により導入された欠陥の回復過程を、高温においてその場、かつ、高精度で連続的に検出することにより、その回復プロセスの速度過程を明らかにすることを目的とする。結晶内への欠陥の蓄積は微小ではあるが体積変化を伴うので、特性変化を検出する手段として超高精度の熱膨張計を用いた測定を主として行った。 (1)材料試験炉で中性子照射した複数の結晶質SiCについて、超高精度熱膨張計を用いて、一定温度に昇温後、その温度に6時間以上一定に保ち、長さの時間変化を検出した。次いで、温度を少し昇温し、同様な測定を繰り返した。これを、試料長が照射以前の長さに戻るまで順次温度を上昇しながら繰り返し測定した結果、それぞれの温度での回復速度を明らかにした。(2)結晶構造がSiCと類似し構成元素が1種類のSi単結晶について、中性子照射後の試料を用いて、超高精度熱膨張計により、SiC試料と同様な測定を行った結果、SiCとは異なる回復を確認した。 (3)各温度で得られた時間-長さ変化曲線を解析し、その変化を説明できる欠陥回復モデルを検討し、速度定数を明らかにした。測定温度範囲全体について回復の見かけの活性化エネルギーを求め、さらに点欠陥の第1原理計算を参考にして、欠陥回復機構を提示した。 (4)照射後のSiC試料を異なる条件でアニールし、高分解能電子顕微鏡を用いて、中性子照射欠陥(ループの生成、ボイド・バブルの生成)を観察した結果、1400℃以上の加熱によりバブルが生成することが明らかとなった。この結果を、欠陥回復モデルに反映した。 (5)これまでの研究により得られた成果を比較検討して、照射損傷の形成およびその熱安定性に及ぼす結晶構造的な特徴を整理した。
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