研究概要 |
サンベルトで得られる高温太陽熱を利用し水の熱分解で水素を製造する二段階水分解サイクルに必要とされる反応性セラミックデバイスの開発を行い、下記の知見を得た。 1.反応性セラミックとして研究代表者が開発したフェライト/ジルコニア担持体についてNi,Co,Mn,Mgの他金属ドープ効果を比較し、最も高活性の組成をNi_<1.0>Fe_<2.0>O_4/ZrO_4と決定した。熱力学的解析より、Niドープフェライトが最も高い活性を持つ理由も明らかにした。Ni_<1.0>Fe_<2.0>O_4/ZrO_4のフェライトの最適担持量を検討し、約20wt%と決定した。 2.研究協力者の黒崎播磨(株)の技術でジルコニアのセラミック発泡体を合成し、これにNi_<1.0>Fe_<2.0>O_4/ZrO_4微粉体を担持固定し、反応デバイスかすることとした。担持固定法を検討した結果、ウオッシュコート法とフェライト含浸法を組み合わせることが有効であることが見出され、ジルコニア発泡体へのフェライト担寺量が最大で9wt%の反応デバイスを合成することに成功した。 3.作製した反応デバイスを高出力キセノンランプ使用の小型太陽炉シミュレータを用いて反応試験した。窒素ガス気流中で反応デバイスに1000〜2000倍集光の擬似太陽光を照射して約1400℃に加熱して反応性セラミックを活性化した後、1000℃で水蒸気を導入して水分解反応を行う二段階反応を繰り返した。10サイクル以上に渡って水分解による水素を合成することができ、このときの担持フェライトの反応率は25-80%であることが分かった。 4.サイクル反応後のデバイスには亀裂や破損が見られた。これは発泡体のジルコニア骨格そのものが熱サイクルに対して脆弱なためと推察された。今後は、熱サイクルに耐性の良いSiC発泡体にジルコニア微粉体を被覆し、これに反応体のNi_<1.0>Fe_<2.0>O_4/ZrO_4を担持固定する反応デバイス化を試みることとした。
|