研究概要 |
一年草オオオナモミを用いて,植物の育成実験を行った。最終年度は,主軸ファイトマー節間の伸長成長と力学的安定性を決める要因を明らかにすることを目的に解析を進めた。茎の力学的安定性に係わる性質として,節間の弾性係数,破壊応力を計測した。両係数は孤立個体に比べて群落個体はで大きかったが,倒伏安全率は群落個体で小さかった。直径と高さの関係が異なるためである。また,茎が折れる限界の風速を算出し,これが孤立個体で大きく,群落個体で小さいことを示した。力学的安定性と体積重(体積あたりの乾重)とには正の相関があったが,その関係は孤立個体と群落個体で異なった。力学的安定性に係わる物質の割合が両個体で異なることが示唆された。 相対伸長成長速度と水分含量(生重あたりの乾重)には,期待したような単純な正の相関は見られなかった。成長につれて相対伸長速度は低下を続けたが,水分含量は当初増加してから一定となり,その後減少を続けた。 水分含量と体積重との間には両個体を通して強い負の相関が見られた。負の相関は,節間を構成する物質の密度と空隙率が一定と仮定すると予想される関係であることを示した。
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