研究課題
基盤研究(B)
初年度、一年草シロザを用いて、植物の育成実験を行った。孤立個体と群落個体のアーキテクチャを記載し、植物の成長を解析した。葉面積の分布から、それぞれの受光量を算出した。地上部は主軸、分枝を含めて、節間・葉柄・葉身を単位(ファイトマー)にして成長する。成長をファイトマーごとに計測することにより、孤立個体と群落個体の成長と分枝様式および資源利用の違いを調べた。孤立個体に比べ,群落個体では茎の直径の成長が抑えられ,高さ方向の成長が促進された。また分枝が制限された。群落個体は力学的安定性を犠牲にして茎を伸長させ,葉を高い位置に展開していた。孤立個体は窒素利用効率が大きく,群落個体は光利用効率が大きかった。2年目以降はオオオナモミを用いて,シロザと同様の実験を行った。主軸ファイトマー節間の伸長成長と力学的安定性を決める要因を明らかにすることを目的に解析を進めた。茎の力学的安定性に係わる性質として,節間の弾性係数,破壊応力を計測した。相対伸長成長速度と水分含量(生重あたりの乾重)には単純な正の相関はなく,特徴的な関係があることが示された。力学的安定性と体積重(体積あたりの乾重)とには正の相関があったが,その関係は孤立個体と群落個体で異なった。水分含量と体積重との間には両個体を通して強い負の相関が見られた。負の相関は,節間を構成する物質の密度と空隙率が一定と仮定すると予想される関係であることを示した。
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