1.研究の目的 好適な時期に花を咲かせるしくみの自然変異と進化を明らかにすることが目的である。開花調節経路の鍵となる遺伝子のmRNA量をパラメータとして、自然条件に生育する植物個体の開花調節と環境の時間的・空間的変動との関係を解析する。シロイヌナズナ近縁種3種を対象とする。 2.平成19年度の実績 前年度の研究結果に基づき、ハクサンハタザオとタチスズシロソウの2種の研究をすすめた。 (1)ハクサンハタザオ:野外個体を用いたFLCのmRNA定量を行い、その季節変動パターンを明らかにした。変動パターンは野外集団のフェノロジーをよく説明した。また、FLCの転写量は過去約5週間の気温変動と連動して変化していることが明らかとなった。さらに、制御環境下への移植実験を行うことにより、FLC転写量が温度依存であることを示した。 (2)タチスズシロソウ:本種は異質倍数性起源であるために2セットのゲノムを含んでいるため、クローニングをすることにより、野外集団内・間におけるFLCの遺伝的変異を明らかにした。
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