研究課題
シロイヌナズナのストレス応答に関与する転写因子をコードするDREB2A遺伝子について、様々なストレスによる発現誘導を定量PCRにより確認した。乾燥、塩ストレス処理では、DREB2Aの発現量は緩やかに増加した。一方、37℃処理によってもDREB2Aの発現は急速に一過的に誘導された。DREB2Aプロモーターを用いて、緑色の蛍光を発するGFPタンパク質とDREB2Aの融合タンパク質をシロイヌナズ中で発現させると、無処理の状態では緑色蛍光はほとんど観察されないが、37℃で1時間30分処理することにより強い蛍光が核で観察されるようになった。DREB2A遺伝子の発現は高温ストレスにより誘導され、合成されたタンパク質は核に蓄積することが明らかとなった。活性型のDREB2Aを過剰発現したシロイヌナズナで発現の増加した遺伝子に関して、DREB2A破壊株における発現を確認したところ、ストレス誘導性の発現が顕著に低下していた。これらのDREB2A下流遺伝子の中には、HSストレスに応答するが乾燥ストレスには応答しない遺伝子、反対に乾燥ストレスに応答するもののHSストレスには応答しない遺伝子が含まれていた。DREB2Aの下流には、乾燥ストレス応答性発現とHSストレス応答性発現とをわけている制御システムの存在が示唆された。活性型DREB2A過剰発現シロイヌナズナおよびDREB2A破壊株を用いて、HSストレス耐性試験を行った。野生型シロイヌナズナを45℃で1時間処理すると、その生存率は13%であったが、活性型DREB2A過剰発現体は80%以上の生存率を示した。野生型シロイヌナズナは37℃で1時間処理することによりHSストレス耐性を獲得し、49℃で1時間処理しても78%が生存できるようになる。しかし、DREB2A破壊株では生存率が50〜60%に低下していた。
すべて 2006
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The Plant Cell 18(5)
ページ: 1292-1309
Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America 103(49)
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