研究課題
(1)チオレドキシンとチオレドキシン還元酵素の相互作用の生化学的な解析チオレドキシンは、生体内でチオレドキシン還元酵素によって還元されている。葉緑体内では、還元力の供給源は還元型フェレドキシンで、この反応はフェレドキシン-チオレドキシン還元酵素によって触媒される。一方、細胞質では、NADPHが還元力として用いられ、NADPH-チオレドキシン還元酵素(NTR)が働く。いずれの場合も、チオレドキシン還元酵素が還元型になると、酸化型チオレドキシンが還元酵素との間でジスルフィド結合中間体を形成し、チオレドキシンのジスルフィドが還元型のジチオールに、還元酵素が逆に酸化型になることが知られている。そこで、これらの酸化還元状態が両者の相互作用にどのように影響するかを評価するため、表面プラズモン共鳴法を試みたが、機器感度の制約で違いを測定することが出来なかった。(2)チオレドキシンと標的酵素の相互作用の生化学的な解析網羅的な解析手法によって明らかになったチオレドキシン標的タンパク質について、生化学的に相互作用の同定および還元力伝達に与るシステイン残基の同定を進め、新規に細胞質型リンゴ酸脱水素酵素およびフルクトース1,6ビス燐酸アルドラーゼが標的酵素であることを確認した(第47回日本植物生理学会発表、論文準備中)。(3)チオレドキシンが標的蛋白質を認識する分子機構の立体構造レベルでの解明チオレドキシンが様々な標的タンパク質を認識する分子認識の機構を理解するために、チオレドキシン-標的タンパク質ジスルフィド結合中間体の結晶構造解析を目指して、標的酵素の組換え体蛋白質およびシステイン変異体の作成を行った。これらの蛋白質とチオレドキシンの安定な複合体を作成する条件の検討を進めている。(4)酸化還元調節機構の1分子観察酸化還元調節を1分子レベルで評価する実験系を構築するため、顕微鏡システムを新規に組み上げ、その性能評価を行った。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Journal of Experimental Botany 56(416)
ページ: 1463-1468