1.チオレドキシンと標的タンパク質の相互作用の解明 細胞質型チオレドキシンとその標的酵素候補である細胞質型リンゴ酸脱水素酵素の相互作用を調べ、この酵素が新規のチオレドキシン被調節酵素であることを明らかにした。特に、システイン変異とペプチドマッピングの詳細な解析を行い、リンゴ酸脱水素酵素のカルボキシ末端に位置するシステインを介した二量体分子間のジスルフィド結合形成だけで、酵素活性が調節されていることを明らかにした。ここで予想されたジスルフィド結合は、これまで知られているこの酵素の立体構造からは予想できなかったものであり、酵素タンパク質が酸化状態で大きく構造を変化させることを示唆している。 2.チオレドキシンが標的蛋白質を認識する分子機構の立体構造レベルでの解明 昨年度に引き続き、チオレドキシンと標的タンパク質問の安定なジスルフィド結合中間体を形成できるタンパク質上のシステイン、およびジスルフィド結合形成の条件の検討を行っているが、まだ結晶化・構造解析に供するような安定なタンパク質を供給で来る条件を得るに至っていない。
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