研究課題
植物核遺伝子の転写研究では、これまでコアプロモーターや基本転写機構の多様性は殆ど注目されてこなかった。しかし、筆者らは、光合成核遺伝子に関する研究の中から、進化の過程で葉緑体ゲノムから核に転移した遺伝子群はコアプロモーター領域の構造に特徴的な類型のあること、この類型は正常な転写調節に必要であることを見出した。さらに、植物核遺伝子群のプロモーターを構成する上流調節領域とコアプロモーター領域は、それらを組み合わせたときに正常な転写が生じるかどうかによって、いくつかのサブグループに分類されることを見いだした。これらの知見は、高等植物の核ゲノムでは機能的に分化した多様な転写開始複合体(PIC)が使われており、それらを介した高次の転写制御ネットワークが存在していることを示唆している。しかし、その分子的実体や進化的な位置づけなどはまだ明らかにされていない。本研究は、植物核で機能する多様な転写開始複合体(PIC)について、特にコアプロモーターサブタイプの特異的認識に関連している成分を比較プロテオミクスの手法で同定すること目的としている。本年度は、昨年度の成果を基にして、LC/MS法による包括的蛋白質同定の条件検討を行った。その結果、タバコから抽出した核酸結合性蜜白質を実験試料としたところ、シロイヌナズナのデーターベースとの比較では、目的とする差分蛋白質成分の同定は困難だった。そこで、新たに、シロイヌナズナの光合成培養細胞を入手し、それを使った実験系の再構築に取り組んだ。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
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