研究課題
本年度は、花芽形成の制御においてphyBと拮抗的に働くcry2について、cry2-GFPを組織特異的に発現する植物を用いた解析をさらに進めた。発現させた組織は、表皮、維管束、葉肉、茎頂であり、さらに対照として根で発現する系統も用いた。これらについて、cry2による花芽形成促進作用を調べたところ、維管束で発現させた場合のみ有効であった。一方、cry2-GFPの場合も、phyBの場合と同様、維管束におけるFT遺伝子の発現を制御することで花芽形成が制御されることが確認された。これらの結果は、葉肉細胞のphyBにより花芽形成が抑制されるという結果と対照的であり、非常に興味深い。フィトクロムの細胞内シグナル伝達機病の無明に向けて、phyAにGFPを融合させた分子に核移行シグナルや核排出シグナルを付加したものを発現させ、その細胞内分布と生理機能を調べた。まず、連続遠赤色光による胚軸伸長阻害応答について詳しく調べたところ、核に局在させたphyA-GFPは有効であったが、核から排出させたphyA-GFPでは応答が見られなかった。さらに、他の応答でも同様の解析を行い、連続遠赤色光に対する応答では、phyBの場合と同様に、シグナル伝達は核内で起こることが示唆された。フィトクロムの主要分子種にはphyAとphyBがあり、その生理応答の様式は大きく異なる。この違いがどのような構造的基盤に基づくのか探るため、フィトクロム分子を4つのドメインにわけ、それぞれについてphyAまたはphyBの配列を持つようなキメラ遺伝子(合計16種類)を構築し、シロイヌナズナのphyAphyB二重変異体で発現させた。まだ全ての遺伝子について形質転換を終わっていないが、先に得られたものについて予備的な実験を行い、構築した遺伝子がフィトクロムとしての活性をもつかどうかを調べた。
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Plant Cell Physiol. 48
ページ: 375-380
ページ: 423-433
Plant Cell 19
ページ: 84-93