研究課題
味覚受容トランスダクション機構について以下の成果を得た。3量体Gタンパク質の味覚器における発現を調べたところ、α、β、γサブユニットの各1個が主に発現していた。Gγ1遺伝子が発現している味細胞を同定するために味細胞の機能阻害実験をおこなった。Gγ1遺伝子に対する2本鎖RNAを発現するUAS-RNAi系統を用いて、Gγ1遺伝子をノックアウトしたときの味覚神経応答を電気生理学的に解析したところ糖に対する応答が低下していた。Gγ1遺伝子のnull突然変異型はホモ致死であるので、FLP/FRTシステムを用いて任意のタイミングで体細胞組換えを起こし、Gγ1遺伝子のnull突然変異ホモ接合体の細胞を生じさせた。その味細胞の糖に対する神経応答は完全には消失していなかった。Gγ1遺伝子は糖受容細胞で発現しており、糖受容シグナルトランスダクションに関与していると考えられる。ショウジョウバエの味細胞の軸索は、唇弁からは脳の食道下神経節に、フ節や翅からは胸部神経節に直接伸びている。特定の味細胞でGAL4が発現しているGal4エンハンサートラップ系統をスクリーニングし、唇弁の感覚子に接続する1個の味細胞でGAL4が発現している系統を得た。GAL4発現細胞の機能阻害により生じる味覚応答の変化を調べた結果、GAL4発現細胞は水受容細胞であることがわかった。モザイク法を用いて、1個か数個の水受容細胞でGFPを発現させ、中枢への投射パターンを観察したところ、唇弁のすべての味覚感覚子に接続する水受容細胞は、食道下神経節の同じ領域に投射していた。水受容細胞とは異なる味細胞でGAL4が発現しているGr32a-Gal4の投射パターンとを比較したところ両者の投射パターンは異なっていた。
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