研究課題/領域番号 |
17370028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋元 信一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30175161)
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研究分担者 |
青木 重幸 立正大学, 経済学部, 教授 (30159280)
片桐 千仭 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (90002245)
八尾 泉 北海道大学, 大学院・理学研究院, 学術研究員 (70374204)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 分子系統 / ミトコンドリア / 種分化 / 地理的変異 / ホストレース / ゴール / 無性生殖 / アブラムシ |
研究概要 |
本研究は、単為生殖と有性生殖を繰り返すアブラムシに注目して、その特異な生活様式と繁殖様式が遺伝的分化や種の分化にどのように関わるかを総合的に解明したものである。本研究の結果、その特異な生活史に応じて、アブラムシはさまざまなレベルで遺伝的分化を起こし、頻繁に種分化をおこしてきたことが明らかとなった。本研究で取り扱った範囲は、ゴール形成と遺伝的分化の関係、第四紀に入って爆発的に種分化をとげたAphis属と寄主植物との関係、有性生殖と無性生殖集団間の遺伝的分化、生活史の急激な変更を通じての種分化、随伴アリとの相利共生を通じての遺伝的分化など、極めて多岐にわたる。本研究によって、アブラムシの生殖様式と適応、遺伝的分化の相互の関係が総合的に理解できるようになり、生物多様性の理解に大いに寄与することができた。 具体例として、ニレイガフシアブラムシでは、寄主個体上の集団間で遺伝的分化が進んでいることが明らかにされた。本研究において、遺伝的分化の主要因として、寄主植物間のフェノロジーの違いが大きくかかわっていることが明らかになった。寄主個体の芽吹き時期の差は、アブラムシ集団間の遺伝子流動を強く阻止し、遺伝的分化・種分化を引きおこす要因となっていた。これまで進めてきた分子系統樹構築の過程で、いくつかの種では、ミトコンドリア遺伝子が集団内で多型現象を示すことが明らかになった。ユキムシ及びニレヨスジワタムシにおいては同一繁殖集団内で、3%から7%の相違を示すCOI遺伝子ハプロタイプが見い出された。これほどの規模の相違は報告されたことがなく、今後追求すべき大きなテーマである。
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