研究課題/領域番号 |
17370031
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
加藤 雅啓 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 部長 (20093221)
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研究分担者 |
松本 定 国立科学博物館, 筑波実験植物園, 主任研究員 (80132695)
山田 敏弘 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (70392537)
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キーワード | 同形胞子 / 異形胞子 / 受粉様式 / 授精様式 / シダ植物 / 心皮 / 裸子植物 / 原始的被子植物 |
研究概要 |
同形胞子から異形胞子(大胞子・小胞子)への進化は生殖に関わる陸上植物の大きな進化の流れである。異形胞子植物は自配受精を避けることができる点で有利であるとみなされ、同形胞子植物から異形胞子シダ植物が、さらに裸子植物が進化したと理解されている。本研究では、近交弱勢をもたらす自殖を回避するという生物に共通の永続的な生殖的選択圧がかかって、異形胞子シダ植物が、さらに裸子植物が進化したという仮説を立てて、交配様式だけでなく、その前に起こる受粉の様式(自家受粉,他家受粉)をも各植物群で明らかにし、受粉・交配様式から見た異形胞子、胚珠の進化を探るために調査研究した。台湾、ラオス、タイ、国内での野外・標本調査から、イワヒバ属・ミズニラ属のいくつかの種で小胞子が散布前に大胞子に付着する胞子受粉の可能性を示唆するデータを追加した。特に、最初の種子植物である裸子植物の現生種の中で針葉樹は例外的に雌雄同株を含むが、それらでも基本的には他家受粉することがわかった。絶滅した過去の裸子植物を化石文献情報をもとに調べたところ、雌雄異株である可能性があることがわかった。最近もっとも原始的被子植物であることが明らかにされた特殊化が著しいヒダテラ科は雌雄異株と同株の両方がある。原始的被子植物群の比較から、この群は基本的には雌雄同株であるといえる。このことより、裸子植物から被子植物への進化は単性花(生殖器官)で雌雄異株から両性花(時に単性花)で雌雄同株への進化を伴い、心皮の出現とともに雌雄性の急激な変化が起こった可能性が考えられる。
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