研究課題
補体レセプタータイプ1(CR1)は、赤血球、単球/マクロファージ、顆粒球、B細胞、いくつかのT細胞、脾濾胞性樹状細胞、糸球体有足細胞の細胞膜に存在する分子量約250kDaの糖鎖を結合した膜タンパク質である。sCR1は、C末端部分の膜貫通ドメインを遺伝子工学により除去した水溶性型のCR1である。sCR1は、補体活性化経路の中間産物である活性型C3bおよびC4bを結合し、ファクターIとの共活性により、これらの補体成分を分解/不活化することで最終的にネクローシスを阻害する。移植医療で、火急の対策が迫られている問題、補体系活性化による超急性拒絶反応を抑える効果が期待されるため、sCR1は注目を集めている。今年度は、CHO培養細胞の増殖を目的とした血清成分を含んだ培養の条件と、sCR1の生産、分泌を開始させ、それ以降の精製で夾雑物の残留を防ぐことが可能な無血清培地を用いた培養について効率化を図ったところ、培地上清500mLから平均で11mgのsCR1をルーチン的に得られるようになった。会合を緩和する効果のあるマイルドな界面活性剤を少量添加し、PEG400を沈殿剤とした条件で微結晶が得られた。また、C4bに結合するドメインSCR1-3(21.0kDa)をコードしたプラスミドを構築し、SCR1-3の産生に適した培養条件の検討を行なった。培地上清1Lから100μgのSCR1-3を精製することができた。生化学的実験からダイマーもしくはそれ以上で存在していることが示唆された。所属研究ユニットでは、CHO細胞の培養や、透過型(低温)電子顕微鏡による観察等が自由に行なえる研究環境が依然として実現され(でき)ないため、従っていろいろな面で足枷、制限を受ける。逆境にあっても、引き続き地道に構造解析に耐え得る良質な結晶が再現性良く得られるよう条件検討を進める予定である。
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20th IUBMB International Congress of Biochemistry and Molecular Biology and 11th FAOBMB Congress Abstracts' CD
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平成18年度ライフサイエンス分野融合会議 生命工学部会バイオテクノロジー研究会 合同研究発表会・講演会要旨集
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