研究課題/領域番号 |
17370047
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田嶋 正二 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (50132931)
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研究分担者 |
末武 勲 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (80304054)
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キーワード | DNAメチル化 / DNAメチルトランスフェラーゼ / ヌクレオソーム / ヒストン / Dnmt1 / Dnmt3a / Np95 |
研究概要 |
高等動植物ゲノムのシトシン塩基は生理的な条件下でメチル化修飾を受ける。この修飾は遺伝情報発現に抑制的に働く。DNAメチル化を書込むDNAメチルトランスフェラーゼとして3つの遺伝子、Dnmt1、Dnmt3a、Dnmt3bが同定されている。本研究計画では、組換型DNAメチルトランスフェラーゼを用いて、触媒特異性を解析し、ゲノムDNAのメチル化調節機構を明らかにすることを目指している。本年度は以下の点を明らかにした。 Dnmt1は複製時にメチル化模様を維持する活性を有するが、このメチル化模様維持にNp95と呼ばれる、新しいメチル化DNA結合領域SRAをもつ蛋白質が協同して働くことを明らかにした。これまでDnmt1はそれ自身で維持メチル化活性を担っていると考えられていたが、今回の報告で、ゲノムのメチル化模様の維持にNp95という新たな因子の助けが必要であることがわかった。 ゲノムに新たなDNAメチル化模様を書込む酵素としてDnmt3aとDnmt3bがある。これまでこれら酵素の生化学的な性質は裸のDNAを基質として調べられてきた。しかし核内ではゲノムDNAはコアヒストンに巻きついたヌクレオソームを基本構造として存在する。そこで、ヌクレオソームを再構成して、Dnmt3aとDnmt3bのメチル化活性を比較して、一昨年度に両酵素がヌクレオソームのDNAをメチル化する活性に違いがあることを報告した。今年度は、再構成ジヌクレオソームを用いてDnmt3aの性質を調べた。Dnmt3aは2つのヌクレオソームコアの間に位置するリンカーDNAを非常に効率よくメチル化する。この活性は、この位置に結合するヒストンH1によって阻害されることを明らかにした。ヒストンH1はヌクレオソーム間を動的に移動することが報告されているので、ヒストンH1によりリンカー部分のメチル化模様の書込みが制御されていると考えられる。
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