研究課題
基盤研究(B)
1.骨格筋細胞でのインスリン依存性糖取込み誘導のシグナル伝達系におけるRac1の機能解析、2.クラスリン依存性受容体エンドサイトー`シスのRac1による抑制機構の解析を行なった。1.に関しては、ラット筋芽細胞株L6を用いて、Rac1の活性型変異体の異所性発現による糖輸送担体GLUT4の細胞膜への移行、siRNAによる内在性Rac1の発現抑制よるインスリン依存性のGLUT4の細胞膜への移行の阻害などを見い出した。さらにこれらをin vitroで分化誘導した筋管でも確認するとともに、マウス骨格筋において検証を進めた。また、骨格筋特異的なRac1ノックアウトマウスを作製し、インスリン依存性のGLUT4の細胞膜への移行について検討する準備を進めた。2.に関しては、ヒト子宮頸癌由来HeLa細胞を用いて、まず、Rac1の活性型変異体の異所性発現によるトランスフェリン受容体エンドサイトーシスの抑制、siRNAによる内在性Rac1の発現抑制によるトランスフェリン受容体エンドサイトーシスの促進を示した。さらに、このシグナル伝達系においてRac1の制御に関与するグアニンヌクレオチド交換因子としてOst-IIIを同定した。また、Ost-IIIを負に制御する結合タンパク質として、γ-アミノブチル酸受容体結合タンパク質(GABARAP)を同定した。これらの研究に加え、3.ホスホリパーゼCεのマウス個体での生理機能の解析、4.Rap1に対するグアニンヌクレオチド交換因子RA-GEF-1、RA-GEF-2の機能解析も行った。とくに4.に関しては、脾臓B細胞のインテグリン依存性細胞接着が、腫瘍壊死因子αの下流で、M-Ras/RA-GEF-2/Rap1からなるシグナル伝達系によって制御されていることを培養細胞系とノックアウトマウスの系を用いて示した。
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