研究課題/領域番号 |
17370054
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
内藤 晶 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80172245)
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研究分担者 |
西村 勝之 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00334631)
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キーワード | カルシトニン / アミロイド線維 / アルツハイマー病 / サケカルシトニン / 脂質二重膜 / 2段階自己触媒反応 / 固体高分解能NMR / CP-MAS |
研究概要 |
カルシトニンはアルツハイマー病に見られるアミロイド線維を形成するアミロイド形成タンパク質と認識されている。このカルシトニンの線維形成現象を解明するため、固体高分解能NMRの手法を用いて線維形成の反応機構、線維の立体構造決定を行い、線維形成の分子機構を明らかにすることを目的として研究を行った。加えて細胞内の条件に近づけるため、脂質二重膜小胞の存在下で起こる線維形成の分子機構について明らかにする研究を行った。 ヒトカルシトニンをpH7およびpH3の水溶液に溶かし、その水溶液をNMR試料管に詰めてから接着剤を用いて完全に密封した後、その^<13>C NMR信号を測定する。カルシトニンのモノマーおよび線維に対応する信号は、DD-MASとCP-MASを交互に観測してそれぞれの信号の経時変化を同時に観測する。この我々独自の方法により線維形成の反応機構を明らかにした。 サヶカルシトニン(sCT)のアミノ酸配列を検討した結果、hCTにおける芳香族アミノ酸がsCTではLeuに置き換わっていることに注目して、変異体Y12L/F16L/F19L-hCTを合成して線維形成過程を観測した。sCTでは線維形成速度がhCTに比べて格段に遅いので、この芳香族アミノ酸残基をLeuに置換した変異体の線維形成速度も遅くなると予想したが、実際測定を行った結果、線維形成は2段階自己触媒反応機構で進むことが判明し、2段階目の線維伸長反応の速度定数が1000倍遅くなることが分かった。 次に線維形成が起こる最小単位としてDFNKFフラグメントを合成して線維構造の詳細と線維形成反応速度の解析を行った。この結果、速度定数はhCTに比べて遅いものの繊維形成が観測できた。しかし、DLNKLフラグメントでは線維形成は認められなかった。
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