研究概要 |
Chl d合成系に変異を起こしたシアノバクテリアとアカリオクロリス株をスクリーニングするため、冷却CCDイメージングによる長波長遠赤色蛍光によるコロニースクリーニング系は可能であることを確認できた。405nmと450nm各レーザーなどによる選択励起光でChl a, Chl dの蛍光を観察するために、CCD側には690nm,740nmの干渉フィルターを入れることで、Chl a, Chl dおのおのの蛍光強度を測定し、コロニー毎にその比からChl d発現株を決める見通しが立った。 新型酸素発生型光合成生物アカリオクロリスに特異な色素であるクロロフィルd(Chl d)合成系の酵素とその遺伝子を同定し、クローニングした。この遺伝子をゲノムと形質転換法が確立され、既に多様な遺伝子操作プローブが用意されているシアノバクテリアSynecosystis sp.PCC 6803株と、そのフィコビリン色素欠失PAL株、及びSynechococcus sp.PCC7942に導入し、chld型光合成を発現させる準備を整えつつある。アカリオクロリスはSynecosystis, Synechococcusとリボゾーム遺伝子解析では、ある程度近縁であり成功の可能性は高い。アカリオクロリスゲノムDNAライブラリーの作製と他のシアノバクテリアへのゲノムDNAライブラリーの導入を行う予定である。 アカリオクロリス変異株の作成については、うまくいけば迅速に研究が進むと期待でき、同時に研究試料としても興味深い機能変異が得られるが、遺伝子導入系が確立されていないので不確定要素もある。突然変異株の単離、遺伝子の同定、遺伝子配列の決定を進める。
|