研究概要 |
既知の全植物とシアノバクテリアは、670-700nm(1.85-1.77eVの光子エネルギーをもつ)の赤色光をクロロフィルaで吸収、変換して電子を動かす光合成を行い、例外はないとされてきた。しかし、我々は'98年に新型のシアノバクテリア型細菌アカリオクロリスが新色素クロロフィルdを使い720-740nmの遠赤色光(1.72-1.68eVの光子エネルギー)で酸素発生する光合成系を持つ事を示した。この生物のもつクロロフィルdを植物に導入した新植物を作り出し、自然界にはない進化をおこすことを目的に研究を進めた。この光合成系の「構造と系II反応中心クロロフィルの同定」(Itoh, S.et al.投稿中)、「熱発光による酸素発生Mn系の解析」(Tomii, T.et.al.投稿中)、「光化学系IIの遅延蛍光」(Fukushima, Y.et al.準備中)、「光化学系Iタンパク質内電子移動」て(Itoh, S.et al.投稿予定)、を明らかにした。さらに、以下を進めた。1.アカリオクロリスの薬剤耐性の確認、これを利用した混在細菌の除去、最適培養条件の確立。2.海洋バイオ研究所提供の株の光合成能力の比較。3.光化学系I反応中心を、他のシアノバクテリアと比較し、その機能と構造が高い相同性を示した。4.培養条件によるクロロフィルd吸収帯の変化と光化学系I反応との関係を明らかにした。5.光化学系Iの鉄硫黄センター、キノン、クロロフィルの量と反応特性を明らかにした。6.ヘリオバクテリアの光化学系と比較した。可視光よりも低いエネルギーをもつ近赤外光を利用するアカリオクロリスの光合成系の特性の解析。
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