研究課題
バクテリオロドプシンは高度好塩菌に見出された光駆動プロトンポンプで、構造・機能が最も解明された生体ポンプである。研究代表者らは、バクテリオロドプシンの反応中間体の構造解析を基に、「バクテリオロドプシンは水分子の輸送をも司る"水分子/プロトン対輸送体"である」という仮説を提唱した。"水分子/プロトン対輸送体説"の裏付けを取るため、今年度においては以下の研究を行った。1)高圧キセノンガス存在下でのバクテリオロドプシンの構造および光化学反応を調べ、プロトン取り込み経路近くに存在する空隙にキセノン1原子が特異的に結合するとM中間体の寿命が短くなることを見出した。2)高度好塩菌Halorubrum sp. aus-2に見出された光駆動プロトンポンプ(アーキロドプシン-2(aR-2))の六方晶(空間群P321)を作成し、その結晶構造を2.1Åの分解能で求めた。この結晶はaR-2の三量体が蜂の巣格子上に配置されてできた平面膜が積層してできていること、第2の色素であるバクテリオルベリンが三量体構造に取り込まれて存在していること、などを明らかにした。3)海洋性真正細菌由来の光駆動プロトンポンプであるプロテオロドプシンの3次元結晶を作製した。4)塩素イオンポンプであるハロロドプシンをバクテリオロドプシン欠損株に導入した後、UV照射により突然変異を誘導し、ハロロドプシンを多量に産出する変異株を得た。4)イカ・ロドプシンの結晶化条件の精密化を行い、2.8Å分解能のX線回折データを基に構造モデルを構築した。
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