2重らせんDNAに結合するタンパク質の体系的構造解析のための基盤研究

2006 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 17370058
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 西村 善文 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (70107390)
• 研究分担者: 明石 知子 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 準教授 (10280728)
• キーワード: 核酸 / ゲノム / 蛋白質 / 発現制御 / 老化

研究概要

大腸菌の転写活性化因子PhoBのDNA結合ドメインのフリーの動的構造とDNA複合体の動的構造をNMRを用いて解析した。フリーの時は明らかに見かけ上固い疎水性コアと柔らかい疎水性コアの2種類のコアが存在した。柔らかい疎水性コアはDNAに結合する面とRNAポリメラーゼに結合する面の両方を支えていたが固い疎水性コアはこれらの表面とは全く逆側の裏面にあった。DNAに結合すると柔らかい疎水性コアは固くなったがそれでももともとの固いコアよりは柔らかいままであった。DNAとの複合体でもRNAポリメラーゼとの相互作用部位は柔らかいままであった。
さらに酵母のクロマチンリモデリング因子Chd1の中にタンデムに並んだ2個のクロモドメインのCd1とCd2の立体構造を決定した。ヒトホモログのCHD1では両方のクロモドメインを使用してヒストンH3の4番目のメチル化されたリシンを認識していたが酵母Chd1のクロモドメインの構造はヒトCHD1の構造と異なっていて特にメチル化リシンを認識する部位に大きな構造変化が見つかった。今回の構造解析の結果酵母のChd1はメチル化ヒストンとは相互作用できないことが判明し全く新規な機能を持つクロモドメインであることが判った。
神経特異的な転写抑制因子NRSF/RESTのN末抑制ドメインとmSin3のPAH1ドメインの複合体の構造の解析に引き続きNRSF/RESTのC末抑制ドメインを大量に取得しNMRの測定を行い構造解析に着手した。

研究成果

• [雑誌論文] NMR dynamics distinguish between hard and soft hydrophobic cores in the DNA-Binding domain of PhoB and demonstrate different roles of the cores in binding to DNA (2007)
  • 著者名/発表者名: Okamura, H., Makino, K., Nishimura, Y.
  • 雑誌名: J.Mol.Biol. 367 ページ: 1093-1117
• [雑誌論文] Structural Polymorphism of Chromodomains in Chd1. (2007)
  • 著者名/発表者名: Okuda, M., Horikoshi, M., Nishimura, Y.
  • 雑誌名: J.Mol.Biol. 365 ページ: 1047-1062
• [雑誌論文] Stability analysis for double-stranded DNA oligomers and their noncovalent complexes with drugs by laser spray. (2006)
  • 著者名/発表者名: Shi, X., Takamizawa, A., Nishimura, Y, Hiraoka, K., Akashi,S.
  • 雑誌名: J.Mass Spectrom. 41 ページ: 1086-1095
• [雑誌論文] Top-down analysis of basic proteins by microchip capillary electrophoresis mass spectrometry (2006)
  • 著者名/発表者名: Akashi, S., Suzuki, K., Arai, A., Yamada, N., Suzuki, E., Hirayama, K., Nakamura, S., Nishimura.Y.
  • 雑誌名: Rapid Commun Mass Spectrom. 20 ページ: 1932-1938
• [雑誌論文] A protein recycling system for nuclear magnetic resonance-based screening of drug candidates. (2006)
  • 著者名/発表者名: Hirayama, A., Shirota, O., Nomura, M, Nagadoi, A., Nishimura, Y.
  • 雑誌名: Analytical Biochem. 353 ページ: 99-107
• [雑誌論文] Evaluation of Binding Affinity of Protein-Mutant DNA Complexes in Solution by Laser Spray Mass Spectrometry. (2006)
  • 著者名/発表者名: Shi, X., Nishimura.Y., Akashi, S., Takamizawa, A., Hiraoka.K.
  • 雑誌名: J Am Soc Mass Spectrom 17 ページ: 611-620
• [図書] 神経特異的転写抑制因子NRSF/RESTとコリプレッサーSin3との複合体構造 (2006)
  • 著者名/発表者名: 野村充, 西村善文
  • 総ページ数: 913-920
  • 出版者: 蛋白質・核酸・酵素