研究課題
RIPプロテアーゼは複数の膜貫通領域で膜に組み込まれたpolytopic型膜タンパク質で、基質となる膜タンパク質をその膜貫通領域内部で切断するという興味深い機能を持っており、真核生物から原核生物まで様々な生物で多様な細胞機能に関わっている。大腸菌にはS2Pプロテーゼファミリーに属するRsePとRhomboidファミリーに属するGlpGという2種類のRIPプロテアーゼが存在する。RIPプロテアーゼの活性部位は膜内部に存在すると推測されている。これは、RIPプロテアーゼが基質を膜貫通領域内部で切断することとも話が合うが、一方、基質切断が膜内部で起こるとすれば、水を必要とするペプチド結合の加水分解が如何にして疎水的な膜内環境で起こるのかと言う問題が起こる。本年度、我々は、生化学的手法を用いて、GlpGの活性部位周辺の環境を調べ、活性部位が、細胞質外の可溶性スペース(ペリプラズム)に開いた「溝(cavity)」の内部に存在すること、従って、水が自由に近づけることを見出した。最近、RIPプロテアーゼとして初めてGlpGの結晶構造が明らかにされたが、その構造は、私達の解析結果と良く符合しており、GlpGが生理的な、膜に組み込まれた状態でも、結晶構造と同様な構造を持つことが分かった。一方、我々はRsePにっいても同様に活性部位周辺の環境を調べた。RsePでは、活性部位が折りたたまれたタンパク質ドメイン内部に存在することがわかり、RIPプロテアーゼはその種類によって、異なる方法で「膜内切断」を行っていることが推測される。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件)
J. Cell Biol. 176
ページ: 307-317
J. Biol. Chem. 282
ページ: 4553-4560
Mol. Microbiol (in press)