研究課題
四肢の基部先端部軸形成について、複数の発生段階に関して詳細な細胞運命図を作成した。これらの結果から、肢芽の発生初期においては将来の基部構造と先端構造は別の位置に存在するのではなく、両者の発生運命は広範囲に渡ってオーバーラップしていることを見出した。ただし、この段階で最基部の構造はすでに領域化されていた。また、肢芽の先端部の発生運命の重なりは発生の進行に伴って狭くなっていくことがわかった。さらに、Hoxa13/Hoxa11タンパク質発現分布の詳細な解析を共焦点顕微鏡を用いて行い、肢芽先端部の細胞の性質は肢芽の発生・伸長に伴って徐々に変化していることを議論した。ただし、先端部の細胞は均一な状態には無いことも同時に判明した。以上の結果を、論文として報告した。前後肢の形態差と前肢・後肢の位置決めについて、前肢領域の決定と前肢に固有の形態の形成には、それと同レベルの体節からの影響が重要であることを、体節の移植実験から明らかにした。すなわち前肢レベルの体節を後肢レベルに移植すると、前肢マーカーTbx5遺伝子が誘導され、後肢マーカーTbx4遺伝子の発現が抑制された。他のさまざまな分子の発現変化の結果と併せて、四肢の位置決めは側板中胚葉内の自立的なものではなく、組織間相互作用によって決定される可能性を提唱する論文を発表した。四肢の軸形成における遺伝子発現が、エピジェネティックな制御によりコントロールされているという新しい概念を、両生類の四肢におけるshh遺伝子発現とそのエンハンサー配列のDNAメチル化状態の関係から考察した。shhを発現する組織と発現しない組織ではエンハンサー領域のDNAメチル化状態が明らかに異なっており、shhの発現にはエンハンサーの低メチル化状態が必要である可能性が見出された。この仮説に関する論文は現在投稿中である。
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